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2025.04.21 「血圧はどこまで下げればいいの?」~最新の研究から(BPROAD研究)~
今回は、糖尿病と高血圧の関係について、大切な研究結果をご紹介します。
糖尿病の人は、血圧にも気をつけて
糖尿病の治療というと、「血糖値を下げること」が中心になりますが、実は血圧も同じくらい大事なんです。
血圧が高いままだと、心臓病や脳卒中など、命に関わる病気のリスクがグッと高まります。
では、血圧はどこまで下げればいいのか?
ここが、長年ずっとはっきりしていなかったんですね。
これまで、高血圧を合併した糖尿病患者さんに対して「血圧は120未満に下げるべきか?140未満で十分か?」
という議論が続いてきました。以前の研究では、血圧を120未満にしたグループで明らかなメリットが出ず、
むしろ副作用(低血圧・電解質異常など)が心配されていたんです。
最新の大規模研究で見えてきた「ベストな血圧」(の可能性)
2025年3月、世界的な医学誌『New England Journal of Medicine』に
中国の研究チームが発表した**「BPROAD研究」**が注目を集めています。
このBPROAD研究の内容を図に簡単にまとめてみました。
ただし「下げすぎ」にも注意は必要
もちろん、どんな治療にも副作用はあります。
この研究でも、めまいやフラつき(低血圧)、カリウム値の上昇が強めの治療グループで
少し多かったという報告があります。
なので、「がんばって下げればいい」という単純な話ではないんですね。
じゃあ、どうすればいいの?
血圧は、「低ければ低いほどいい」というものではなく、
**その人にとって安全で効果的な“ちょうどいい血圧”**を見つけることが大事です。
糖尿病がある方で血圧が高めの場合は、
「少し強めに血圧を下げたほうがいいかも?」という選択肢も出てきました。
ただし、それは医師とよく相談して、安全に続けられる範囲でやることが大前提。
自己判断で急に薬を増やしたりするのは、とても危険です!
最後にひとこと
血圧や糖尿病の治療って、数値を追うだけだとしんどく感じることもありますよね。
でも、こうした研究で「どうすればより健康に近づけるか」が少しずつ明らかになってきています。
「血圧、少し下げたほうがいいのかな?」と思った方は、気軽にご相談ください。
参考文献
Bi Y, Li M, Liu Y, et al. Intensive blood-pressure control in patients with type 2 diabetes. N Engl J Med. 2025;392:1155–1167.
DOI: 10.1056/NEJMoa2412006