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世界腎臓デーに寄せて ー 腎臓を守るためにできること

世界腎臓デーに寄せて ー 腎臓を守るためにできること

毎年3月の第2木曜日(2025年は3月13日)は「世界腎臓デー(World Kidney Day)」です。この日は、腎臓の健康の大切さを再認識し、腎臓病の予防や早期発見の重要性について啓発することを目的としています。腎臓は私たちの体内で静かに働き続ける臓器ですが、その機能が低下すると生活の質が大きく損なわれる可能性があります。そこで、腎臓の働きや病気のリスク、予防方法について知り、日々の生活に活かしていきましょう。

腎臓の役割とは?

腎臓は、腰のあたりに左右一対あるソラマメ型の臓器で、血液をろ過して老廃物や余分な水分を尿として排出する役割を担っています。さらに、血圧の調整、体内のミネラルバランスの維持、ホルモンの分泌など、健康維持に欠かせない多くの働きをしています。

腎臓病のリスクと現状

慢性腎臓病(CKD: Chronic Kidney Disease)は、腎機能が徐々に低下する病気で、日本では成人の約8人に1人が罹患しているとされています。腎臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、初期の段階では自覚症状がほとんどないため、気づいたときには病状が進行していることも少なくありません。腎機能が著しく低下すると、人工透析や腎移植が必要になることもあり、生活への影響は非常に大きくなります。

腎臓病の主な原因

腎臓病の最大の原因は 糖尿病と高血圧 です。血糖値が高い状態が続くと腎臓の毛細血管が傷つき、機能が低下します。また、高血圧によって腎臓の血管に負担がかかり、ろ過機能が損なわれることもあります。その他にも、肥満、喫煙、過剰な塩分摂取、運動不足、ストレスなどが腎臓の負担を増やす要因となります。

腎臓を守るための生活習慣

腎臓を健康に保つためには、日頃の生活習慣を見直すことが大切です。以下のポイントを意識してみましょう。

  1. 減塩を心がける
    塩分の摂りすぎは高血圧を引き起こし、腎臓に負担をかけます。1日の塩分摂取量は 6g未満 を目指し、薄味の食事を心がけましょう。

  2. 適度な運動を取り入れる
    軽いウォーキングやストレッチなど、無理のない範囲で体を動かし、血圧や血糖値をコントロールしましょう。

  3. 水分を適量摂る
    水分不足は腎臓の働きを悪くする可能性があります。1日1.5~2Lを目安に、こまめに水を飲みましょう。ただし、腎機能が低下している人は医師の指示に従いましょう。

  4. バランスの取れた食事をする
    野菜や果物、良質なたんぱく質をバランスよく摂取し、糖分や脂肪の過剰摂取を控えましょう。

  5. 定期的な健康診断を受ける
    早期発見が腎臓病の進行を防ぐ鍵です。血液検査や尿検査を定期的に受け、腎機能の状態をチェックしましょう。当院ではLTEP(エルテップ)を導入しており、長期間のeGFR (腎機能)データから今後の腎不全リスクを拾い上げることに努めています。(LTEPについてはこちらを参照→「LTEPを導入しました」)

まとめ

腎臓病は、初期段階では気づきにくいものの、進行すると生活に大きな影響を及ぼす可能性があります。しかし、日々の生活習慣を見直すことで、リスクを減らし、健康な腎臓を維持することが可能です。世界腎臓デーを機に、ご自身やご家族の腎臓の健康について改めて考え、できることから始めてみましょう。

腎臓を守ることは、全身の健康を守ることにつながります。小さな積み重ねが大きな健康につながることを意識しながら、毎日を健やかに過ごしましょう。

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